blenderでShift+Aで追加できるオブジェクトの中に、「UV球」「ICO球」の二つがあることはご存じでしょうか。両方とも同じ「球」という名前が付くオブジェクトなのに、同じものではないようです。
そこでこの記事では、UV球とICO球の特徴に触れながら、その使い分け方について解説していきたいと思います。
UV球とは?
まずはUV球の概要、メリット、デメリットについて解説していきます。
なお、UV球の「UV」とはU軸とV軸のことを表しています。何かの英単語を略した名前ではないので参考までに。
UV球の特徴

UV球は球を水平方向(横方向)と垂直方向(縦方向)に区切られた形状の球体です。一番イメージしやすいのは地球儀でしょうか。緯度と経度に沿って分割され、四角形と三角形の面で構成されています。
またUV球の北極と南極に位置する極点には、多くの頂点が集中しています。このため。極点周辺は頂点密度が非常に高くなるのも、ICO球と異なる特徴です。
UV球のメリット
BlenderのUV球は、表面が滑らかであるためテクスチャマッピングが簡単で、地図や天球テクスチャを張り付けやすい特徴があります。また、水平方向と垂直方法の分割数を調節することができ。ポリゴン数を簡単にコントロールできるため、表面の滑らかさを簡単に表現することができます。
UV球のデメリット
まず、極点の問題があります。前述の通り極点(北極と南極に当たる位置)には頂点が集中するため、ポリゴンが密集し、構造が非常に細かくなります。このためレンダリング時にノイズが発生しやすく、UV球の特徴であるなめらかさが表現しづらくなることがあります。特に、高解像度のテクスチャを使用する場合や、極点付近の表現が重要な場合には、この極点の問題が顕著になります。
次に、均一な分布ではないことが挙げられます。UV球の頂点と面は球体全体に分布していないため、特定の用途では不適切になることがあります。例えば、UV展開の際に、緯度線に沿った部分では頂点が密集し、赤道付近では頂点が疎になるため、テクスチャの歪みが発生しやすくなります。このため、均一なテクスチャマッピングが求められる場合には、UV球の選択は難しくなります。
ICO球とは?
続いて、ICO球の概要、メリット、デメリットについて解説します。
なお、ICO球の「ICO」は正二十面体の意味を表す「Icosahedron」の略になります。
ICO球の概要

ICO球(IcoSphere)は、Blenderで使用される3Dも出輪舞の基本構造の一つになります。ICO球は、正二十面体をもとにして作られた球体で、その名前の通り20個の三角形面から構成されています。この三角形の均一な分布により、球体全体で頂点や面が均等に配置されているのが特徴です。
ICO球のメリット
全ての面が正十二面体で構成されていることにより、特定のエリアで頂点が密集したり、疎になったりすることがなく、滑らかな表面を維持できます。また、UV球とは異なり、ICO球には極点が存在しないため、極点問題が発生しません。これにより、極点付近でのポリゴンの密集やレンダリング時のノイズの発生を防ぐことができます。
さらに、ICO球の均一な三角形面のおかげで、UV展開時に歪みが少なく、テクスチャを均一に貼り付けることができます。このような特性から、ICO球は物理シミュレーションや粒子シミュレーションに適しています。球体全体で均等な分布が求められるシミュレーション環境での使用に向いています
ICO球のデメリット
ICO球は正二十面体を基にしているため、三角形の面で構成されています。これにより、同じ滑らかさを持つUV球に比べてポリゴン数が増えることがあります。特に、低ポリゴン数が求められる場合には不利になることがあります。
ICO球は三角形で構成されているため、四角形ポリゴンを好むモデリングソフトウェアやレンダリングエンジンで使用する場合、対応が面倒になることがあります。四角形はモデリングやアニメーションにおいて一般的に扱いやすいとされており、よく使用される形状であるため、問題となる頻度は多いです。
UV球とICO球の使い分け
ここまでUV球とICO球の概要、メリット、デメリットを解説してきました。最後はUV球とICO球の使い分けについて紹介したいと思います。
まず、UV球(UV Sphere)は、地球儀や天球、惑星モデルの作成やキャラクターの目玉のモデル作成などに適しています。特に、滑らかな表面が求められる場合や、テクスチャマッピングが簡単に行える場合に便利です。
一方、ICO球(Icosphere)は、正二十面体を基にして作られており、均一なポリゴン分布を持つため、滑らかで一貫した形状を得ることができます。このため、物理シミュレーションや粒子シミュレーション、ゲーム開発などで均一な面の分布が求められる場合に適しています。
まとめ
同じ「球」という名前がついていたとしても、UV球とICO球には大きく違う特徴があります。UV球はテクスチャマッピングのしやすさが求められるシーンに、ICO球は均一な分布と滑らかな表面が求められるシーンに適しています。
これらの特徴を理解し、用途に応じて適切なメッシュタイプを選択することが3Dモデリングでは重要になります。