Blenderで球体を作ると聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのはUV球またはICO球ではないでしょうか。これらはメッシュの追加(Shift+A)で簡単に作成できるので、ほとんどの人が利用したことあると思います。
ですが実は、UV球とICO球以外にも球体を作成する方法があります。それがこの記事で紹介する「立方体から球を作成する」という方法で、これが非常に便利です。
ということでこの記事では、立方体から球隊を作成するメリット、UV球との比較、そして具体的な作成方法まで徹底解説します。
なぜ立方体から球体をつくるのか?
立方体から球体を作ると聞くと遠回りしているように見えますが、実はトポロジーの最適化や非破壊編集の柔軟性といった点で、プロでも支持されているようなテクニックになります。特にアニメーション作成やゲーム作成においては、立方体から球体を作成委することで、後々の作業工程がぐっと楽になります。
もし皆さんが初心者であれば、一番最初にこの手法に出会うのは参考書などのチュートリアルの時だと思います。僕も初めてチュートリアル本を手に取ったときは、「なんでUV球を使わないんだろう??」と疑問に思ってはいました。調べもせず放置しましたが、、、
次からは、立方体から球体を作成するメリットについて整理したいと思います。
メリット1:トポロジーが均一で扱いやすい

上の画像は、左が立方体から作成した球、右がUV球となっております。こうしてみると、面の形が朝夕の急で大きく変わっていることが分かります。
立方体で作成した球は四角形のポリゴンのみで構成されており、面の流れも均等になります。これにより、スカルプトモード時のブラシ挙動が安定したり、リギングして変形させたときの歪みが少なかったり、トポロジー編集の手間も最小限というメリットがあります。
他方、UV球を見てみると、極部分に三角形ポリゴンが密集しているため、アニメーション時にしわが寄ったり、不自然な変形を招く原因になります。
メリット2:非破壊編集による柔軟性
立方体から球体を作成する場合、まずモディファイアーのサブディビジョンサーフェスを追加して形を作るため、元の立方体のデータは保持されたままになります。つまり、、、
・やり直しや調整が何度でも可能
・モディファイアのレベル設定次第で一瞬で解像度を変更可能
・ほかのモディファイア(ミラー等)との組み合わせも自由自在
例えば、途中で「球の一部を角張らせたい」や「面の数を減らしたい」と思った時も、頂点を動かして再モデリングをしなくて済むというのが大きな強みになります。
ステップ3:ポリゴン密度を調整可能
従来のUV球では、ポリゴン数の指定は初期作成時に限られ、後からの調整は非常に困難になります。それに対して立方体から球体を作成した場合は以下のようなことが可能です。
・サブディビジョンサーフェスの設定で段階的に滑らかさを増加可能
・軽量なローポリモデルから精密なハイポリモデルまで対応可能
・必要最小限のポリゴンで形を保てるので、パフォーマンス維持やリソースにも優しい
立方体とUV球との使い分け
ここまでは立方体から作る球体のメリットを挙げてきましたが、UV球が一概に悪いというわけではありません。用途によって「立方体から作る球体」と「UV球」をそれぞれ適材適所に活用することで、作業効率をぐっと上げることができます。
要するにそれぞれの特徴を生かした使い分けが大事になります。
次からは、どんな場面でどちらを選ぶと効果的かを整理してみました。
立方体から作成した球を活用する場面

立方体ベースの球は主に以下のような場面で使うと効果的です。
・アニメーションやスカルプト用のキャラクター、オブジェクトを作成する等、トポロジーが重要な場合
・他の形状に変形させる前提がある等、モディファイア中心の非破壊編集を使いたい場合
・ローポリとハイポリを切り替えたい場合
UV球を活用する場面

UV球は主に以下のような場面で使うと効果的です。
・ラフモデリングなど、とにかくすぐに球体がほしい場面
・極端な変形が舐めれば問題ないなど、レンダリングの見た目が重視で変形させない場面
・シミュレーションや物理演算のベースとして使用する場面
実践!立方体から球体を作る手順
ここまでは立方体から球を作成するメリットについて解説してきました。次からはより実践を考慮して、実際に立方体から球体を作成する方法について解説したいと思います。
ステップ1:立方体を配置

まずは立方体を配置します。
(Shift+A → メッシュ → 立方体)
ステップ2:サブディビジョンサーフェスを追加

続いて配置した立方体に対して、モディファイアプロパティからサブディビジョンサーフェスを適用します。サブディビジョンサーフェスの設定内の「ビューポートのレベル数」と「レンダー」の数値を変更することで、ローポリまたはハイポリを調整することができます。(今回はビューポートの数を2、レンダーを2にしています。)
ステップ3:スムーズシェードを追加

最後に球を右クリックして「自動スムーズシェード」を追加します。これでなめらかな球体を作成することができました。
もし球体として編集を始めたい場合は、サブディビジョンサーフェス内の「適用」を選択してください。
最後に
ここまで立方体から球体を作るメリットをUV球と比較しながら解説してきました。
立方体から球体を作成する手法は、見た目の滑らかさだけでなく、後工程の柔軟性や効率性においても多くのメリットがあります。特にトポロジーの均一性や非破壊編集の自由度は、初心者から上級者まで重宝するポイントになります。
用途に応じてUV球との使い分けを理解することで、より美しく、扱いやすい3Dモデルの制作が可能になります。ぜひ一度、この手法を試してみてください。創作の幅がぐんと広がると思います。